革のなめし

タンニンなめし

革のなめしのイメージ

木の皮や果実などの植物から抽出した、渋とも呼ばれるタンニンという物質を使ってなめす方法をタンニンなめし(Vegetabletannage)といいます。ペロリと舐めたことはありませんがおそらく渋い味がするのでしょう。この物質を含んでいる植物は何種類かありますが、日本で革製品をなめすのに使用されるのは欧州に生息するチェストナットから得られるチェストナットエキス、南米のケプラチョから得られるケプラチョエキスが主になります。なのであなたが所持している革製小物から南米の雰囲気がしたりするのなら、それはケプラチョエキスを使ってタンニンなめしをしているのかもしれません。このなめしの特徴はタニタンの色、茶褐色に染まることで色からなめしの方法を見破ることもできる場合があることでしょう。柔らかく上品に膨らんで革製品を素晴らしい状態に仕上げてくれますので、多くの製品がこのタンニンなめしによってなめされています。ですが味を調べようと口に含んだりはしないで下さい。

クロームなめし

植物から抽出した成分で行われるタンニンなめしとは違い、クロームなめし(Chrometannage)は金属を使用します。塩基性硫酸クローム液という薬品を使って行われるのですが、コラーゲンの酸根と結合する化学反応により革製品がなめされます。薬品を使いますし素人がおいそれとは実演できない手段ですが、どんな革製小物でも柔らかくで美しい姿に仕上げてくれるでしょう。一浴法と二浴法があり手間がかかるのはご想像の通り二浴法で、一般的な革製品なら一浴法がほとんどになるのではないでしょうか。二浴法でなめされるのは高級な品に限られそうですし、何十万円もするブランド品でなければ一浴法だと思って間違いないでしょう。それでも充分に触り心地の良い仕上がりになりますので、一浴法だからとガッカリしなくてもいいと思います。

コンビネーションなめし

上記のどちらでもない、と言うかそれ以上のなめしかもしれないのが複合なめしとも呼ばれるコンビネーションなめし(Combinationtannage)です。例えばクロームなめしを施してから今度はタンニンなめしをする、のように複数のなめし技を合体させたのがコンビネーションなめしです。べつにクロームなめしがうまくいかなかったから改めてタンニンなめしをしたのではなく、最初からその手順で行う計画になっていることが複合なめしの贅沢な部分といってもよさそうです。失敗したからやりなおし、なら贅沢な技法とは誰も思いませんが、2段階の複合技というのがコンビネーションなめしのミソです。単発のなめしでは得られない仕上がりを実現し、より多くの人々に革製品の魅力を伝達することになったのもこのテクニックです。ユーザーの要求に応えるため、高級革製品にはこの方法で加工された物も多いようです。